2022.05.31
胃カメラ検査時に発見されるH.pylori 未感染胃粘膜に発生する早期胃癌
胃癌の発生原因は、主にH.pylori感染によるものである。
幼少時に経口感染し、長期にわたって胃粘膜を侵食しながら萎縮させ、やがて胃癌を発生させる。
除菌療法の普及により、相対的に H.pylori 現感染胃癌が減少し、逆に、H.pylori 除菌後胃癌が増加している。
また H.pylori 感染率は著しく低下することにより、H.pylori 未感染者が増加し、胃H.pylori 未感染粘膜に生じる胃癌が注目されるようになってきた。
H.pylori現感染胃癌、既感染(除菌後)胃癌、未感染胃癌の比率は異なるが、これまでH.pylori 未感染胃癌は1%未満の頻度と報告されており、また、その割合は2.5%と増加しているといった報告もある。
H.pylori未感染胃粘膜に発生する早期胃癌は、H.pylori現感染粘膜や既感染粘膜に発生する早期胃癌とは大きく異なり、以下の4つの背景粘膜に生じる7つの癌組織型肉眼型に類型化が可能となる。
①胃体部〜穹窿部胃底腺粘膜を背景とする胃癌
(a)扁平隆起樣腺窩上皮型胃癌
(b)ラズベリー様腺窩上皮型胃癌
(c)胃底腺型胃癌(典型例はなだらかな粘膜下腫瘍(submucosal tumor: SMT)様隆起を示す)
(d)胃カルチノイド(自己免疫性胃炎を背景)
②幽門腺境界近傍の胃底腺粘膜を背景とする胃癌
(e)純系印環細胞癌(白色平坦または白色浅い陥凹)
③幽門輪近傍の胃幽門腺を背景とする胃癌
(f)高分化型管状腺癌(辺縁隆起を伴う陥凹)
④食道胃接合部粘膜を背景とする癌
(g)食道胃接合部癌