近年、臨床の場においてHP除菌が盛んに実施され、除菌後胃癌も増加傾向にある。

除菌後発見早期胃癌は、分化型胃癌の発生の場合、内視鏡的には胃炎様外観が特徴的とされ、そのために発見や範囲診断に影響を及ぼすことが内視鏡診断で間題となる。

組織学的特徴は、分化型症例においては、表層に低異型度の腺上皮による被覆が出現することである。

これは通常の管状腺癌ではみられず、むしろ表層分化傾向は非腫蕩性を示唆する所見であることから、生検診断を難しくする原因となることがある。

表層上皮が癌部と共通する体細胞変異をもつことが示されており、表層上皮が「腫蕩」である可能性を示唆している。

また、除菌後発見早期胃癌における未分化型胃癌の発生頻度は低く、10%未満と報告されている。

未分化型早期胃癌の場合は、除菌によって内視鏡的範囲診断の正診率が高まったという報告がある。