胃癌症例のほとんどがHP（ヘリコバクター・ピロリ菌）感染を背景に発生する。

通常型の分化型、未分化型腺癌だけでなく、Epstein-Barrウイルス関連胃癌やマイクロサテライト不安定性胃癌の発生にもHP感染が深く関連している。

Hpの感染率低下および除菌率向上により胃癌発生頻度は低下傾向にあるが、HP除菌後胃癌では特徴的な内視鏡的組織学的変化がみられ、今後はHP未感染胃癌の重要性も増していくと考えられる。

HP陰性胃癌としては、印環細胞癌の一部、接合部癌の一部に加え、稀な亜型である胃底腺型胃癌が代表的であり、特殊な胃癌としてはラズベリー様腺富上皮型腫瘍も含まれる。

背景粘膜の性状に応じて多様な胃癌が発生するため、それぞれの内視鏡像・組織像・生物学的特徴などを十分理解して胃癌診療に臨むことが求められる。

また、今後、Hp未感染および除菌後発生胃癌における研究が、Hpによる胃癌発生への解明につながると期待される。