新型コロナウイルス感染拡大に伴い、日本消化器内視鏡学会からもさまざまな情報提供がなされている。

そして、情報が蓄積されるにつれて国内外の関連学会より対応が示され、状況の変化に応じて随時改訂されている。

日本消化器内視鏡学会からも、2020年3月25日付で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への消化器内視鏡診療の対応について」が発表され、有症状者や感染者との接触が疑われる者、2週間以内の流行地への渡航歴がある者については、緊急性のない消化器内視鏡検査・治療は延期を考慮することや標準予防策の徹底などが示された。

同年5月29日付の第6版では、緊急事態宣言の解除を受けて、「内視鏡診療においてコロナウイルスを感染させるリスクの高い患者(ハイリスク患者)」と「無症候等により臨床的に COVID- 19 を疑わない症例(ローリスク患者)」に区分し、ハイリスク患者についてはより厳密な個人防護着( PPE )の着用と標準予防策の徹底のもと、緊急性のある内視鏡のみ行うことを推奨し、ローリスク患者については問診や体温測定など適切なトリアージと確実な標準予防策を含む感染防護策をとったうえで検診を含む通常内視鏡診療の再開も可能としている。

この基本方針は 2020年8月4日付の「最近の COVID-19 感染状況における消化器内視鏡学会としてのスタンスについて」においても、事前の問診や検温などによりリスクを評価し適応を適切に判断したうえで、 PPE による防護策の徹底がなされていれば内視鏡診療の継続は可能と考える、と示されている。

あわせて日本消化器内の視鏡学会からは、中小の医療機関における対応を含めた「新型コロナウイルス感染症に関する消化器内視鏡診療についてのQ & A」が示され、随時改訂されている。こうした情報・提言は、その時点での総合的な判断であり、地域の感染状況や設備・備品の供給体制など含めて、施設ごとに判断する必要がある。

しかしながら、ワクチンの供給も進み、コロナウィルスに対する内視鏡のトリアージも緩和される日も近いと思われる。