本邦における食道癌のほとんどは扁平上皮癌であるが、食生活の欧米化による逆流性食道炎の増加に伴い食道下部に発生する腺癌も増えている。

大阪国際がんセンターとAIメディカルサービスとの共同開発による食道AI内視鏡診断システムの製品化に向けて、食道扁平上皮癌に関しては、膨大な蓄積データによる教育開発が行われており、現在、食道胃接合部腺癌拾い上げのAI開発も始まっている。

表在性食道胃接合部腺癌から計1,172枚の癌画像と内視鏡検査を受けた219例の非癌患者から2,271枚の正常粘膜画像を収集し、AIシステムの教育データセットを作成した。

画像は白色光非拡大画像、NBI/BLI非拡大画像を使用し、癌に対しては四角いフレームを用いたマーキングを行い、AIシステムの物体検出アルゴリズムには Single ShotMultiBox Detectorを使用した。

内視鏡的切除または外科的切除された食道胃接合部腺癌36例と、生検で非癌であることが確認された食道炎や血管異常などの非癌病変43例より評価データセットを作成した。

症例ごとに白色光非拡大画像、NBIBLI非拡大画像をそれぞれ1~2枚ずつ、計2~4枚の静止画を準備し、13名の内視鏡専門医による診断結果をAIと比較した。

第一世代AIの癌診断感度は94%、特異度は42%であった。

内視鏡専門医の感度 88%、特異度43%と比較し、特異度が同程度で感度がやや上回る結果であった。

このように、食道扁平上皮癌だけでなく、食道胃接合部腺癌においても、内視鏡検査時のAI診断は重要であると思われる。