2021.05.08
胃カメラ検査時に発見されるピロリ菌感染胃炎に関するAI診断
胃がんの発生原因であるH. pyloriは主に幼少時の経口感染により、胃がん症例のほぼ100%にH. pyloriが認められる。
近年、消化管疾患の検査時に行われる内視鏡にAI導入にむけて研究・開発が進んでいる。
今回、公益財団法人早期胃癌検診協会や自治医科大学メディカルシミュレーションセンターなどにより、コンピュータ画像認識技術を応用した H. pylori感染胃炎に対する人工知能診断についての報告がなされた。
画像強調内視鏡を用いたコンピュータ支援診断(LCI-CAD)の正診率は、H. pylori未感染 84.1%、現感染 81.7%、除菌後78.6%であった。
この結果は、同じ手法で作成した白色光のCAD (WLI-CAD)よりよい成績であり、加えて内視鏡専門医と同等の診断精度と考えられた。
一方で、AIを用いた胃X線二重造影像による H. pylori未感染と現感染の2分類では、感度 86.7%、特異度91.7%の結果が得られた。
人工知能を用いたH. pylori診断は、常に一定の診断精度が得られるだけでなく、診断速度も速く、プログラムを複製することも可能である。
本研究成果が、胃癌リスクの層別化に応用されれば、早期胃癌の内視鏡スクリーニングやX線検診の診断支援へ貢献できるものと期待される。