上部内視鏡検査の進歩により、スコープ径は最小化を極め、経鼻挿入による胃検査が普及し、被検者にとって非侵襲的となっている。

検査自体の苦痛は軽減されているが、袋状の胃内部を観察には熟練を要する。そのため、近年、AIを内視鏡に応用することによる診断サポートの研究・開発が急務となっている。

消化管内視鏡領域におけるコンピュータによる補助診断(CAD)の応用は、畳み込みニューラルネットワーク (CNN)の発展に伴い急速に進歩している。

胃癌に関連するCADの応用は、胃炎の鑑別診断、解剖学的部位の判別から始まり、胃癌の質的、量的診断と拾い上げ診断など多岐にわたって良好な成績が報告されつつある。

一方、CNNを用いたCADには多量の学習用画像を必要とすることが多く、今回、国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科や先端医療開発センター内視鏡機器開発分野などによる報告がなされた。

少数の画像から切り出した微小領域のデータを拡張し、高効率な学習を可能とした。

胃癌の領域情報を提示するモデルを構築した。300画像から構築したCADにより、1年分の連続する胃癌患者137 例462画像に対して画像ベースでの感度87.2%、症例ベースでの感度97.8%と良好な結果であった。

高効率な学習を可能とするアプローチは、今後のCADの構築にも有用であると考えられ、今後、よりデータの集積・解析による上部内視鏡検査におけるAI導入が期待される。