消化管内視鏡検査時の生検検体は病理医による良悪性などの診断が行われる。

従来は、主に2人の顕微鏡ダブルチェックが行われていたが、近年のAI (artificial intelligence)技術の発展は著しく、特に深層学習を用いたAIにより画像認識の精度が大きく向上し、病理組織標本のデジタル化が普及してきたこともあり、これらの技術の病理診断への応用も進んでいる。

消化管癌の生検診断においても深層学習を用いたAIにより、高い精度で正解が得られるようになってきている。

さらに、AIを用いて病理組織画像からその癌の遺伝子異常を推定することも試みられており、治療標的となる遺伝子異常同定のスクリーニングや治療効果予測への応用が期待される。

深層学習を用いたAIはさまざまなデジタル画像認識技術に応用されており、放射線画像や内視鏡画像は撮影時にデジタル化されているが、近年では、病理組織標本もプレパラート全体をデジタル画像としてスキャンすることで、さまざまな倍率で表示させることが可能な WSI(whole slide image)に変換するスキャナーが普及しつつある。

WSIスキャナーはさまざまな企業が制作・販売しており、各社のWSIに対応したWSI viewerソフト(OpenSlideなど)も開発されており、病理組織画像を深層学習で学習・解析するための技術的基盤は整ってきている。

今後、さまざまなソフトの開発により、煩雑かつ難解な顕微鏡診断における病理医のサポートが期待される。