内視鏡治療後の検体における病理検査にて、大腸SM癌お診断された場合、リンパ節郭清を伴う追加外科切除を施行されることが多い。

しかし、そのうちの多くの症例においては、リンパ節転移を認めないことから、大腸SM癌の内視鏡治療後の追加外科切除を行うかについては議論がある。

大腸SM癌(T1)におけるリンパ節転移の頻度は約10%前後であり、90%のリンパ節陰性症例に対して不必要な外科的手術が行われていることになる。

そのようなサルベージ手術における手術自体の侵襲に加え合併症発生の危険性、入院や社会復帰までの精神的および経済的損失が生じる。

さらに、発生病変部位が直腸下部であった場合は、人工肛門造設の可能性も発生する。

大腸癌研究会プロジェクト研究では、内視鏡治療後に再発をきたした症例90例中54例の60%が原病死しており、その予後は不良であるが、その母数は少なく、フォローアップの間隔の明確な記載がなく適切にフォローされずに再発巣が進展し有症状となってから発見された症例も混在している可能性がある。

また、内視鏡治療後に厳密なフォローアップを行い、再発巣を早期発見できた場合のサルベージ手術の有効性については不明である。

今後は、内視鏡治療後の適切なサーベイランス間隔を明らかにし、サルベージ手術の成績を検討することが重要であると考えられる。