大腸腺腫に対する内視鏡的ポリペクトミーは、大腸癌の発生率および死亡率を低下せるうえで重要であるが、その切除適応については様々な議論がなされている。

径5mm以下の微小病変は数年経過しても大きさの増大や形態的変化が見られることが少ない。

一方、欧米では、大腸内のすべてのポリープを摘出する、いわゆる「クリーンコロン」が推奨されている。

実際の臨床現場では、大腸微小病変を内視鏡的に切除するの判断は内視鏡医に委ねられている。

しかし、微小病変であっても、腺腫にはadenoma-carcinoma sequence説に伴う癌化のリスクがあり、径1から9mmの腺腫のうち数年の経過とともに6%がadvanced lesionへと進展した報告もあることから、微小病変を含めたすべての腺腫性病変を切除することは大腸癌による死亡率抑制効果に寄与すると考えられる。

このような現状において、近年、cold polypectomyという手法が開発されている。

cold polypectomyは、従来の高周波電流による焼灼を使用しないため、簡便で安全性の観点から広く普及している。

また、鉗子の形状・大きさなど工夫されたデバイスも開発されている。

今後は、クリーンコロンによる大腸癌死亡率への効果検証に重要な役割を果たすと思われる。