ヒト腸管内には、100兆の微生物が存在し、腸内細菌叢を形成しており、この細菌叢の異常が炎症だけでなく、大腸癌の発生に関与している可能性が示唆されている。

最近の大腸癌組織ゲノム解析から、Fusobacterium属が大腸癌組織で顕著に増加していることが明らかになり、Fusobacterium属が大腸腫瘍の発生や発育進展にも関与する可能性についての知見が報告されている。

特に、Fusobacterium属の中で主要な菌種であるF.nucleatumが大腸癌で炎症を惹起し、MLH1の高メチル化を引き起こし、MSIやBRAF遺伝子変異陽性大腸癌の頻度が直腸から上行結腸に向かうにつれ連続的に上昇する。

近年、癌免疫治療において、T細胞に発現するPD-1とそのリガンドであるPD-L1やPD-1,2の結合を阻害する免疫チェックポイント阻害剤が抗腫瘍効果を発揮すると考えられており、MSI陽性大腸癌においても効果が期待できることが明らかになり、臨床において応用されている。