炎症性腸疾患(IBD)のひとつである潰瘍性大腸炎は、主として粘膜を侵し、びらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異的炎症である。

臨床的には、腹痛・下痢・血便などの症状を呈し、再燃・寛解を繰り返しながら慢性に持続する。

内視鏡所見としては、直腸から口側腸管へ連続性に全周性の炎症病変を有するのが特徴である。

最近は、非連続性に病変が分布する症例が増加しており、診断に苦慮する場合がある。

直腸炎型や左側大腸炎型において虫垂開口部に単独の病変(SKIP LESION)が観察される例も少なくない。

また、直腸粘膜に病変を認めない場合も存在し、これをRECTAL SPARINGと呼ぶが、一般に再燃時に直腸に炎症所見を認めない状態を指すことが多い。従来は、注腸薬剤や座薬による改善作用によるものと考えられているが、初発時に上記を認めることがある。

その他、直腸や左側大腸に病変を認めず、盲腸から上行結腸などの右側大腸にのみ炎症がある場合は右側大腸炎型と呼ばれ、直腸に病変がない、あるいは病変部が散在して存在するものは区域性大腸炎型と呼ばれる。

今後、このような非特異的潰瘍性大腸炎が増加し、診断・治療には慎重な判断が求められると思われる。