2020.11.20
大腸カメラ検査時に発見される潰瘍性大腸炎とは 国内患者22万人
潰瘍性大腸炎は、免疫不全による大腸の炎症のため大腸粘膜が傷害を受け、潰瘍が発生する。腹痛や下痢、血便などが主な症状であり、欧米で多く認められるが、本邦でも患者は増加傾向にあり推定約22万人に上る。
発症原因は不明で、食生活の欧米化や遺伝子など複数の要素が絡んでいると考えられており、完治は難しく、国が難病に指定している。
生命には直接関わらないものの、1日に何度もトイレに駆け込むなどの支障が生じ、日常生活や仕事にも悪影響がでることにおり、生活の質(QOL)を損なうため、治療を続けて症状を抑えることが重要になる。
潰瘍性大腸炎は、ストレス、特に環境の変化によるストレスが発生原因や再発原因となり、炎症の活動期と寛解期を繰り返すことにより腹痛や下血などの症状も繰り返される。
軽症の場合は無投薬で経過観察するが、中等症の場合は5-ASA製剤などが投与され、また重症では、血液をいったん体外に出し、炎症を引き起こす白血球などの特定の血液成分を装置で取り除いてから体内に戻す顆粒球除去療法(GCAP)も行われる。現在、保険が適用されており、治療は基本的に週1回程度のペースで10回程度実施する。
より、重症の場合は、全大腸を摘出し小腸の一部を袋状にして肛門に縫合する方法も施行される。
このほか、健康な人の便から取った腸内細菌を患者に移植する便移植なども研究が進んでいる。
上記については、日本経済新聞に掲載された。