潰瘍性大腸炎において、臨床症状と内視鏡所見が乖離する場合があり、臨床症状が軽微であっても内視鏡的寛解がなければ長期的予後は不良である。

臨床的に寛解であっても30〜60%の症例で内視鏡的には活動性を有しているため、潰瘍性大腸炎の病態や長期予後の判断には、内視鏡による診断が不可欠である。

潰瘍性大腸炎の内視鏡による粘膜診断にはMayo endoscopic subscore(MES)が主流であり、新規薬剤に関する多くの臨床試験で内視鏡改善度を評価するための指標となっている。

近年、さまざまな新規画像強調内視鏡が開発され、消化管疾患の診断、治療に応用されており、内視鏡診断の新しい分野として確立している。

その中で、Narrow band imaging(NBI)を用いて微小血管パターンを観察することにより粘膜の炎症細胞浸潤に有用であるとされており、dysplasiaだけでなく粘膜炎症や治癒の判定における画像強調内視鏡の有用性が明らかになっている。

今回、Linked color imaging(LCI)の使用することにより潰瘍性大腸炎における粘膜治癒評価の有用性が報告された。

MESにおいて、再燃をきたさない潰瘍性大腸炎症例を層別化することは困難であり、MESよりさらに厳密な粘膜治癒を鑑別する新たな分類が必要であると考えられ、LCI分類による潰瘍性大腸炎の再燃率の検討では、Log-rank testにおいてMESと比較して有意に非再燃率と相関していることが明らかになった。

今後、潰瘍性大腸炎の炎症評価において、NBIやLCIなどのさまざまな新規画像強調内視鏡が開発されることが期待される。