食道表在癌は、深達度および脈管侵襲の有無がリンパ節転移のリスク因子であるが、同時に病理組織内におけるtumor buddingも重要である。

元々、悪性を想起させる病理組織像である微小胞巣の浸潤性増殖は、大腸癌においてtumor buddingと呼称され、最近は大腸癌では予後不良因子としての重要性が認識されるようになっている。

その評価方式についても、近年、tumor buddingは単個の腫瘍細胞あるいは腫瘍細胞5個未満の胞巣とする大腸癌での定義を他の消化器癌においても踏襲することがコンセンサスとなりつつあり、食道扁平上皮癌においても同様である。

しかし、リンパ節転移予後因子として用いるために妥当なtumor buddingのカットオフ値は腺癌である大腸癌と食道扁平上皮癌では異なるが、tumor buddingは食道扁平上皮表在癌においてもリンパ節転移と有意に相関する病理組織学的因子であることが明らかになっている。

このように、tumor buddingが食道扁平上皮表在癌のリンパ節転移予後因子としても有用であるが、よりデータの蓄積と解析が必要となると考えられる。