小腸悪性腫瘍には、上皮性腫瘍の癌と神経内分泌腫瘍および非上皮性腫瘍の悪性リンパ腫、間葉系腫瘍、転移性腫瘍がある。

神経内分泌腫瘍は、小腸悪性腫瘍の中で最も多く認められる。

腫瘍性内分泌細胞が充実性、索状、ロゼット様構造、腺房状胞巣などを呈し、毛細血管に富む繊細な間質を伴いながら、充実性の腫瘍塊を形成して増殖する上皮性腫瘍である。

分化度により、NET(neuroendocrine tumor)とNEC(neuroendocrine carcinoma)に大別され、さらに異型度、分裂像数、Ki-67 indexにより、NETはG1、G2、G3に、NECはsmall typeとlarge typeに細分化される。

また、ホルモン産生能の有無で機能性、非機能性に分類され、前者は産生されるホルモンにより多彩な臨床症状を呈する。

好発部位は、遠位回腸でときに多発することがある。

内視鏡所見としては、NETは粘膜深層にある内分泌細胞より発生すし、膨張性に発育するため、上皮性腫瘍であるが正常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍様の像を呈する。

色調は淡黄色で、表面に陥凹、びらん、潰瘍に加えて増生した血管を伴うことがある。

NECは、極めて稀であるため内視鏡所見の報告は少なく、ときに辺縁がSMT様に立ち上がった潰瘍性病変や多結節状の隆起病変が認められた報告があるのみである。