小腸悪性腫瘍には、上皮性腫瘍の癌と神経内分泌腫瘍および非上皮性腫瘍の悪性リンパ腫、間葉系腫瘍、転移性腫瘍があるが、いずれも非常に稀な疾患である。

原発性小腸癌は、神経性内分泌腫瘍に次いで多く認められ、近位空腸、遠位回腸に好発し、大部分は孤発例である。

X線造影所見としては、管状または輪状狭窄によりいわゆるnapkin-ring sign像を呈し、狭窄の両端に病変の周堤によって形成されるoverhanging edgeと口側腸管の拡張を認める。

内視鏡所見としては、易出血性の周堤、潰瘍性病変を伴う内腔の狭小化が認められる。

また、空腸と回腸の巨魁領域、すなわち小腸の中央部に発生した小腸癌の確定には、管状スコープは難渋するため、まずパテンシーカプセルによる狭窄・通過障害の有無を確認した後、カプセル内視鏡による検査を行う。

発癌経路は、de novo発癌が多く腺腫からの癌化は少なく、病理組織学的には、分化型腺癌が多いが、25%に低分化型腺癌を認め、回腸でその頻度が増す。

治療としては、内視鏡的切除になることは稀で、ほとんどが外科的切除の適応となる。