2020.10.06
胃カメラ検査時に発見される食道静脈瘤
食道静脈瘤は、食道粘膜下の静脈が太くなり、瘤(コブ)のように膨れる疾患である。瘤は、放置すると増大し、血管壁は脆く、出血しやすい状態になる。
静脈瘤破裂により大量出血し、生命に関わるため発見・治療が重要となる。
原因としては、肝硬変・特発性門脈圧亢進症・肝外門脈閉塞症・Budd-Chiari症候群がある。
これらの疾患では、肝臓内の門脈圧が亢進により本来肝臓内へ流入する血液が代償的に形成された側副血行路である食道支配血管へ流れ、食道血管に瘤が発生する。
症状がないため、突然の吐血や黒色便で発症し、緊急内視鏡検査で発見される場合がある。
治療としては、門脈圧亢進を引き起こす原因となる疾患を治療し、内視鏡検査による診断を行う。
治療が必要な場合は、ガイドラインにある診断基準により、食道静脈瘤硬化療法(EIS)や食道静脈瘤結紮術(EVL)を行う。
EISは、内視鏡下に、硬化剤(オレイン酸モノエタノールアミンまたはエトキシスクレロール)を患部に注射する方法であり、EVLは、内視鏡下に、ゴム製のバンドで食道静脈瘤を結紮し、静脈瘤への血流を止めて壊死させる方法である。