MALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoid tissue:MALT)は粘膜や腺に付随してみられるリンパ組織を発生母地として生じるB細胞系の低悪性度リンパ腫である。

発症部位としては消化管、扁桃、肺、甲状腺および唾液腺などがあり、消化管が最も多く(50%)、そのうち85%が胃に集中する。

胃MALTリンパ腫の発生要因としては、約90%の患者でピロリ菌感染が認められるため、stage I~II-1の胃MALTリンパ腫に対してはピロリ菌除菌療法を行うが、このその奏効率は70-80%であり、除菌不応、除菌後再燃、増悪、DLBCLへの転換例では外科的切除などの他治療法が必要となる。

外科的手術の場合、病変の広がりを判断するのが困難で、また多発病巣も見られ、20%以上の症例でリンパ節への浸潤が認められるため、2群リンパ節郭清を含む胃全摘出術が標準的手術療法である。

手術療法のみでの5年生存率は70%前後である。

また、放射線治療としては、胃とその周囲のリンパ節に対して30-40Gy単独照射が行われ、5年無再発生存率はそれぞれ78.8%、87.4%と外科的切除術同様の良好な結果が得られる。

その他、化学療法としては、リツキシマブを主体とした、シクロフォスファミド、アドリマイシン、ビンクリスチンおよびプレドニンとの併用療(R-CHOP療法)などの抗癌剤治療が行われる。