GIST(消化管間質腫瘍)は消化管粘膜下の筋層にカハール介在細胞の前駆細胞が異常に増殖し腫瘍化したものであり、粘膜から発生する胃癌や大腸癌とは異なる性質を示す。GISTまたはGISTが強く疑われる場合は原則的に手術療法を行う。

組織採取が困難な小腫瘍に対しては内視鏡検査による経過観察を行うが、現在のガイドラインでは腫瘍の大きさに関係なく外科的手術による摘出、特に部分切除が基本である。

転移などを認め外科的手術適応がない場合は、臨床には異常なKITチロシンキナーゼ(c-kit遺伝子からできるタンパク質)を阻害するイマチニブが導入され、非常に高い治療効果を示されている。

これは、GISTがc-kit遺伝子異常またPDGFRαというタンパク質の異常な活性化により発生することによるためである。

しかし、イマチニブが効かない場合には、スニチニブが、スニチニブが効かないGISTにはレゴラフェニブが導入され、GIST治療は近年大きく変わってきている。

このように、最近では、これらの分子標的治療薬の効果とGISTの遺伝子異常との関係が明らかにされ、遺伝子診断に基づいた個別化医療もGIST治療では行われるようになっている。