MALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoid tissue:MALT)は粘膜や腺に付随してみられるリンパ組織を発生母地として生じるB細胞系の低悪性度リンパ腫であり、全悪性リンパ腫に占める比率は7-8%である。

MALTリンパ腫の発症部位としては消化管、扁桃、肺、甲状腺および唾液腺などがあり、消化管が最も多く(50%)、そのうち85%が胃に集中する。

胃MALTリンパ腫の形態学的分類としては、表層型、隆起型、潰瘍型、決潰型、巨大雛襞型の5つに分類され、表層型が最も多い。

内視鏡所見は顆粒状・敷石状粘膜、びらん、0-Ⅱc型早期胃癌類似の陥凹、隆起や襞の肥厚など多彩であるが、通常の悪性腫瘍に比べややSOFTな印象がある。

確定診断に濾胞外側に浸潤する異型B細胞(centrocyte-like cell)とリンパ上皮性病変を確認することが重要であり、免疫染色が必須である。

症状としては、臨床病期が進行しない限り無症状であり、健診異常による偶然の上部消化管内視鏡検査で発見されることが多い。

発生要因としては、多くは自己免疫疾患や慢性感染症と関連して発症し、シェーグレン症候群では唾液腺MALTリンパ腫発生リスクは44倍、橋本病では甲状腺リンパ腫の発生リスクは70倍である。

また、胃MALTリンパ腫では約90%の患者でピロリ菌感染が認められるため、stage I~II-1の胃MALTリンパ腫に対してはピロリ菌除菌療法を行う。

治療としては、除菌療法(プロトンポンプ阻害薬+アンピシリン+クラリスロマイシン)が第一選択となり、このその奏効率は70-80%であり、除菌不応、除菌後再燃、増悪、DLBCLへの転換例では外科的切除などの他治療法が必要となる。