簡便性、安全性の観点から大腸微小病変に対する内視鏡的切除法として、高周波電流を用いずに鉗子により切除する Cold Polypectomy(CP)が注目されており、本邦でも急速に普及しつつある。

ただ、偶発症をはじめ様々な問題が解決されていない。

例えば、従来からある高周波電流による切除では、作製された標本は熱凝固による変性が加わっているため正確な病理判断ができないことがある。

特に重要な深部断端判断には通電による挫滅が視認性を低下させる恐れがある。

しかし、CPでは変性・挫滅がないため断端部の浸潤においては正確な判断が可能となる。

ただ、病理診断時、切除操作に伴う組織の変性・挫滅こそが検鏡下で水平・深部断端部を探す際の目印になる場合が多く、CPでは視認性に優れた組織標本作製は可能となるが、ほとんど変性・挫滅がないため断端部の目印を失うことが多い。

そのため、「真の断端部」が以前同様の精度を担保することが困難になる。

病理診断の観点からは、組織切片端を摘除断端と認識する以外に手立てがないため、同時に病変がなければ「断端陰性」とせざる得ない。

したがって、CPを行う場合、安易な切除ではなく、内視鏡現場にて術者が断端陰性の可否を判断すべきである。