大腸癌の早期発見のためには、検診ならびに精密検査受診率を向上させること、有症状時に早めに受信・精査を行うことが重要である。

大腸癌の精密検査法である全大腸内視鏡検査には、前処値として服用する下剤の量の多さや内視鏡検査時の疼痛に対して抵抗感を持つ人が多い。

大腸内視鏡検査は熟練するためにかなりの経験数を必要とし、また穿孔の危険性などの偶発症があるため、検診としては不向きである。

特に高齢者は、世代的な社会事情により、幼少時から野菜中心の食生活の人が多く、腸管の走行や長さにより内視鏡時の挿入に苦慮する場合が多い。

しかし、大腸癌の発生が多い高齢者に対する検診や精密検査の整備は急務である。

さらに、僻地や離島においては、消化器内視鏡医の不足によるマンパワーの問題点もある。

大腸CT検査は放射線技師によるCT撮影が主となるため、構築した画像を後日、医師が読影し、また今後は遠隔操作による読影も増えていくと思われる。

また、大腸CT検査は少量の下剤による前処置が可能で、検査自体も送気後に撮影するだけである。

したがって、特にこれからの高齢化社会に向けて、前処置の負担が大きく苦痛を伴う大腸内視鏡検査より、比較的容易に実施でき受容性の高い大腸CT検査を先行しトリアージを行ってから大腸内視鏡検査へ移行することも選択肢として考えられる。