大腸内視鏡検査に伴う疼痛や時間は、被検者の大腸環境に加え、術者の技量に左右される点が非常に大きい。

しかし、大腸CT検査では、腸管内への二酸化炭素の送気だけであるため、検査時の苦痛はほぼない。

ただ、この送気量や方法については、様々な意見があるが、当院では、解剖学的理論に基づいた送気法を行なっている。

左側臥位では、S状結腸口側は肛門より下方へ向かうため、注入された空気は口側より肛側のS状結腸に溜まり、S状結腸の過伸展が起こる。この過伸展は、最終的に検査終了時の疼痛を惹起させるため回避すべきである。

したがって、送気初期500ccまでは右側臥位で開始し、適度にS状結腸を拡張させた後、仰臥位での送気に移行する。

仰臥位では、肛門とS状結腸の位置関係は、SDjunctionがやや上になるため、500cc前後の送気により、初期送気により適度に溜まっている空気がそのまま口側腸管へ押し出されていく。

個人差はあるが、この時点で、肝湾曲付近までの適度な拡張が完了している。

次に左側臥位による500cc(患者による客観的観察と経験値により変わる)を追加し、上行結腸と回盲部の拡張を行う。

大柄な患者などは、CTscanographyでの送気量確認し、追加送気が必要な場合もある。

この解剖学的理論に基づいた送気法により、全腸管の良好な画像が撮影できる。