大腸癌の早期発見のためには、検診ならびに精密検査受診率を向上させること、有症状時に早めに受信・精査を行うことが重要である。

大腸癌の精密検査法である全大腸内視鏡検査には、前処値として服用する下剤の量の多さや内視鏡検査時の疼痛に対して抵抗感を持つ人が多い。

大腸内視鏡検査は熟練するためにかなりの経験数を必要とし、また穿孔の危険性などの偶発症があるため、検診としては不向きである。

大腸CT検査は放射線技師によるCT撮影が主となるため、構築した画像を後日、医師が読影するという点からも、内視鏡専門医の不足を補うことが可能である。

そのため、現在、精検法として大腸CT検査の本格的導入の機運が年々高くなってきている。

現在、日本における大腸CT検査数は年間約7万件であるが、16列以上のCT装置保有台数は約1万台で、自動炭酸ガス装置は約1千台が市販されているため、かなりの大腸CT検査導入のキャパシティーがあると考えられる。

大腸CT検査の診断精度は大腸内視鏡検査と遜色なく、苦痛が少なく安全性が高く、受診者の受容性も良好であることから検診受診率の向上への寄与が期待できる。

今後、検診項目として、便潜血検査だけでなく、画像診断法として大腸CT検査を加えることにより受診率向上だけでなく、大腸癌予防の面からもスクリーニングの一つとして考慮されると思われる。