2020.07.13
大腸CTにおける隣接臓器診断
大腸CT検査と大腸内視鏡検査ともに大腸内部の粘膜病変を観察診断する検査であるが大きく異なるのは、大腸CT検査では周囲臓器の情報まで入手できることである。
撮影時の線量はで1/5であるため被曝量は少なくて済み、通常CT検査の解像度より劣るが肝臓や膵臓などの上腹部臓器病変だけでなく子宮や前立腺などの下腹部臓器病変も描出される。
そのため、大腸病変診断のために受けた検査であるが、他臓器病変が偶然発見される場合もあり、それが重篤な病変で早期に発見されるということも少なくない。
また、大腸癌においては10〜20%の頻度で隣接臓器に浸潤を認めるが、浸潤臓器を合併切除することで良好な予後が得られる。
術中の肉眼診断と病理診断は必ずしも一致しないが、肉眼的に浸潤ありと判断すれば、合併切除の適応となる。
また、浸潤臓器としては、腹壁、小腸、大腸の他には膀胱、子宮など多岐にわたり、合併切除に際して他科との協力が必要となる場合がある。
このため、術前に他臓器浸潤を診断することは非常に重要となる。
また、他臓器浸潤例では腹腔鏡手術は開腹手術に比べて予後が悪いという報告もあり、術式を選択するうえで極めて重要となる。
このように大腸CT検査は従来の大腸内視鏡検査に比べ利点も多く、今後、大腸の検査法としての地位を確立していくと思われる。