通常の内視鏡は、光源であるキセノン・ランプから発せられる白色光の前で赤・緑・青(RGB)のフィルターを回転させ、それぞれのフィルターを通った光が被写体に当たって帰ってくる反射光をモノクロCCDで捉え、ビデオプロ セッサーで再合成してカラー画像を作像するものである。

狭帯域内視鏡(narrow band imaging ; NBI)システムとは、内視鏡の観察光の分光特性を狭帯域特性へ変更し(短波長側にシフト)、病変の視認性や表面微細構造、微小血管観察の向上を可能にした。

一般に、短波長の光では粘膜表層の情報、長波長の光では粘膜下深部の情報を反映し、415nm、540nmの波長を使用することが最も病変の視認性を向上する。

血中を流れる酸化型ヘモグロビンは光を吸収し熱を発生させるが、その吸収領域のピークが415nm、540nmであることが明らかになっている。

NBIでは415nm、540nmを中心とした短波長の狭帯域を(Blue Light)を使用しており、NBIモードで発せられたBlue Lightの大部分は血管内を流れる赤血球の中のヘモグロビンに吸収され、血管が黒茶色に描出される。

一方、他の部分では、光は組織内に入った後散乱を起こし、再び反射してくるので血管とのコントラストが明瞭に描出されることになる。

このように、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つの波長(青色光:390~445nm/緑色光:530~550nm)の光で照らして観察するため、粘膜表層の毛細血管と粘膜微細模様が強調して表示される。

また、癌は自らの増殖のために血管を増やして栄養分を取り込もうとする特性があり、癌が拡大すると毛細血管が増え粘膜表面が込み入った模様に変わるため、NBI で食道・胃・大腸病変を明瞭に画像表示し癌の早期発見が期待される。

内視鏡手元のスイッチで1秒以内に通常のWhite LightからBlue Lightに簡単に変換することが可能であり、NBIシステムは、食道・胃・大腸を中心に、病変の発見や質的・量的診断に広く利用されている。