2020.06.30
大腸カメラ検査時に発見されるクローン病におけるバイオマーカー(血清 LRG)
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の炎症度の判定には大腸内視鏡検査が用いられる。
しかし、侵襲が高いため繰り返しの検査施行には抵抗がある。
特に小腸型クローン病にはダブルバルーン小腸内視鏡検査が行われるが、小腸は非常に長い管腔臓器であるため長時間に及ぶため被検者にとっては非常に苦痛を伴い、また狭窄病変を伴う場合などは挿入困難の場合も多い。
そのため、最近は小腸カプセル内視鏡検査が使用される。小腸カプセル内視鏡検査はほとんど苦痛がなく、病変描出精度も優れているが、より簡便なバイオマーカーが求められる。
従来からCRPや血沈などが使用されていたが小腸病変の活動性を鋭敏には反映しない。
カルプロテクチンは、腸管粘膜で炎症が生じることによって好中球から放出される物質であり、腸管に炎症が発生すると,白血球が浸潤し管腔に移行するため,糞便中の白血球由来成分であるカルプロテクチン量が高値となる。
また、ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)は、ロイシンリッチリピートを持つ血清糖蛋白として単離された分子で、新たな炎症性タンパクとして同定され、潰瘍性大腸炎において炎症部位の腸管上皮でLRGが産生されることが明らかにされている。
今回、血清中LRGが小腸クローン病において、内視鏡的炎症活動性と相関することが報告されるなど、炎症性腸疾患におけるさまざまなバイオマーカーの研究が行われている。
今後も、炎症性腸疾患におけるバイオーマーカーなどの非侵襲的検査の開発が求められる。