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Columnコラム

バレット食道とピロリ菌との相関性

最近は、食生活の欧米化により逆流性食道炎が増加傾向にある。

胃酸の逆流が長期に渡ると、本来の食道粘膜(扁平上皮)が胃粘膜(円柱上皮)に近い 粘膜に置換されたバレット粘膜は、食道腺癌(バレット腺癌)に移行すると考えられている。

バレット粘膜からバレット腺癌への移行は、置換された円柱上皮に遺伝子異常が加わることによって起こると考えられているが、まだ十分には解明されていない。

ピロリ菌はらせん型のグラム陰性微好気性細菌である。

主に幼少時に経口感染し胃粘膜を侵食しながら生息している。

それにより、萎縮性胃炎を起こし、やがて胃癌の発生母地となり、胃癌患者のほとんどが感染または感染既往がある。

胃内部は胃液に含まれる塩酸によって強酸性であるため、従来は細菌が生息できない環境だと考えられていた。

ピロリ菌はウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、発生させたアンモニアにより局所的にピロリ菌周囲の胃酸を中和することによって胃に生息する。

そのため、ピロリ菌を除菌すると、相対的に上昇した胃酸の濃度により逆流性食道炎が増え、それによりバレット腺癌の発生が増加すると予想される。

ピロリ菌が胃癌の発症に深く関与することは明らかになっている。

文献的にピロリ除菌後の逆流性食道炎からバレット食道及びバレット腺癌が発症したという報告はないが、ピロリ菌とバレット食道の関係には解明されるべき点が多く、今後更なる研究が必要と考えられる。