2026.09.16
5-ASA不耐症とは?潰瘍性大腸炎の治療中に発熱・下痢・血便が悪化したら

潰瘍性大腸炎の治療では、5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤が広く使用されています。
代表的な薬剤には、ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®などがあります。
5-ASA製剤は、軽症から中等症の潰瘍性大腸炎における寛解導入・寛解維持の基本となる治療薬です。効果と安全性のバランスに優れており、多くの患者さんが長期間服用しています。
一方で、一部の患者さんでは5-ASA製剤を服用することで、かえって発熱や下痢、腹痛などの症状が現れることがあります。
この状態を「5-ASA不耐症」といいます。
5-ASA不耐症の症状は?
5-ASA不耐症では、
・発熱
・下痢、血便の悪化
・腹痛
・吐き気
・頭痛
・全身倦怠感
などの症状がみられます。
国内の多施設研究では、経口メサラジンを使用した潰瘍性大腸炎患者633人のうち、約11%にメサラジン不耐が認められたと報告されています。特に多かった症状は、下痢の悪化、発熱、腹痛でした。
潰瘍性大腸炎の再燃との違いは?
5-ASA不耐症で特に注意が必要なのは、症状が潰瘍性大腸炎そのものの悪化(再燃)と非常によく似ていることです。
例えば、「潰瘍性大腸炎と診断されて5-ASAを飲み始め、いったん下痢や血便が改善していたのに、しばらくして急に発熱し、下痢・血便・腹痛が悪化した」といった経過をとることがあります。
この場合、潰瘍性大腸炎が悪化したのか、それとも5-ASA不耐症なのかを見極めることが重要です。
5-ASA不耐症を潰瘍性大腸炎の再燃と考えて5-ASAをさらに増量すると、症状が悪化する可能性があります。

5-ASA不耐症はいつ起こる?
5-ASA不耐症は、薬を開始してから比較的早期にみられることが多く、開始後数日〜数週間程度で症状が現れるケースがあります。
ただし、発熱や下痢、血便などは、潰瘍性大腸炎の再燃だけでなく感染性腸炎などでも起こります。
そのため、症状や薬を開始した時期、採血・便検査、必要に応じて内視鏡所見などを総合的にみて判断します。
5-ASA不耐症が疑われたら?
5-ASA不耐症が強く疑われる場合には、医師の判断で原因と考えられる5-ASA製剤を中止します。典型的な5-ASA不耐症であれば、中止することで発熱や腹痛、下痢などが比較的速やかに改善することがあります。
一方、薬を中止しても症状が続く場合には、潰瘍性大腸炎そのものの活動性上昇や感染性腸炎など、ほかの原因について再評価する必要があります。
自己判断で薬を中止せず、主治医に相談することが大切です。
5-ASA不耐症の治療は?

「薬を飲み始めてから悪くなった」と感じたら
5-ASA不耐症と潰瘍性大腸炎の再燃では、その後の治療方針が異なるため、適切に見極めることが大切です。
医潤会内視鏡クリニックでは、症状や治療経過を確認し、必要に応じて採血や大腸内視鏡検査などを行いながら、潰瘍性大腸炎の状態を評価します。
治療中に発熱・下痢・血便・腹痛などの変化がみられた場合は、自己判断で薬を中止せず、お気軽にご相談ください。

