2026.08.26
食道がん治療の新たな選択肢 ―ウイルス療法「テロメライシン」とは

食道がんの治療には、病期や全身状態に応じて、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法などが行われます。
一方、高齢の方や合併症のある方などでは、外科手術や化学放射線療法による治療が難しい場合があります。
こうした食道がんに対する新たな治療選択肢として、2026年6月、腫瘍溶解性ウイルス製剤「テロメライシン注」が国内で承認され、同年8月に販売が開始されました。
テロメライシンとは?
テロメライシンは、アデノウイルスの遺伝子を改変して作られた「腫瘍溶解性ウイルス製剤」です。
がん細胞では「テロメラーゼ」という酵素の活性が高いことが知られています。テロメライシンはこの性質を利用し、テロメラーゼ活性の高い腫瘍細胞内で選択的に増殖するよう設計されています。腫瘍内でウイルスが増殖することでがん細胞を破壊し、抗腫瘍効果を示すことが期待されます。
内視鏡を用いてがんに直接投与
テロメライシンの大きな特徴の一つが、上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いて、食道がんの病変内に薬剤を直接投与することです。
現在承認されている適応は、「根治切除及び化学放射線療法の適応とならない食道がん」です。
放射線療法と併用し、おおむね2週間間隔で合計3回、内視鏡下に腫瘍内へ投与します。
すべての食道がん患者さんが対象となる治療ではなく、病変の状態や全身状態などを踏まえて、専門施設で適応を慎重に判断する必要があります。
食道がん治療に新しい選択肢
食道がんでは、病期や患者さんの全身状態によって治療方法が大きく異なります。特に高齢の方や合併症のある方では、外科手術や抗がん剤を含む治療が難しいことがあります。
テロメライシンは、このような従来の根治治療が困難な患者さんに対する新たな治療選択肢として期待されています。
国内臨床試験では、放射線療法との併用により、ステージII~IIIの食道がん患者さんの約半数で、治療1年後に局所のがん細胞が消失したと報告されています。
一方で、新しい治療法であるため、適応となる患者さんは限定されており、有効性や安全性について今後さらに臨床でのデータが蓄積されていくことが重要です。
食道がんは早期発見が重要
食道がん治療の選択肢は進歩していますが、最も重要なのはできるだけ早い段階で発見することです。
早期の食道がんで、がんが粘膜の浅い部分にとどまっている場合には、外科手術を行わず、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの内視鏡治療によって根治を目指せる場合があります。
食道がんは早期には自覚症状が乏しいことも少なくありません。
進行すると、
・食べ物が飲み込みにくい
・胸につかえる感じがする
・飲食時にしみる感じがする
・体重が減ってきた
などの症状がみられることがあります。
また、喫煙や多量の飲酒は食道がんの重要なリスク因子です。
食道がんと内視鏡検査
「胃カメラ」という名称から胃だけを調べる検査と思われがちですが、上部消化管内視鏡検査では、咽頭・食道・胃・十二指腸まで観察します。
特に食道がんは、早期に発見できれば内視鏡治療が可能となる場合があります。
当院では、内視鏡専門医による胃カメラ検査を行っています。飲み込みにくさや胸のつかえなどの症状がある方はもちろん、喫煙歴・飲酒歴などがあり食道がんが気になる方も、一度ご相談ください。
