2022.03.15
大腸カメラ検査時に発見される結腸軸捻転症に対する緊急大腸内視鏡
S状結腸は、後腹膜に固定されておらず可動性を有し、係蹄が緩く、固定点同士が近接しているため捻転が起こりやすい。
食生活の欧米化により、高脂肪食の若年では、大腸の短縮化がみられる一方、野菜中心の食生活を行ってきた高齢者は大腸、特にS状結腸の過長が多い。
そのため、結腸軸捻転症は高齢男性に多く、原因部位はS状結腸が半数異常を占め、S状結腸過長に加え、便秘などによる腸管拡張や緊張低下などの要因も加わる。
また、高齢者に多く見られる脳血管障害・精神神経疾患・長期臥床・薬剤の長期使用(向精神薬、抗痙攣薬、大腸刺激性下剤など)などがリスク因子になりうる。
SVの治療は緊急内視鏡的解除術が主軸になりうるが、常に捻転による腸管虚血や穿孔、腹膜炎の有無を評価し、手術適応を考えながら治療戦略を組み立てていくことが重要となる。
通常、肛門から20から30cmの部位にスクリュー様に粘膜が捻れて、その先に狭窄となる像が観察されればほぼ確診できる。
捻転狭窄部は、腸管の捻転方向を把握して内視鏡を捻利ながら挿入する。
多くは、捻転狭窄部からS状結腸下行結腸移行部(SDJ)まで反時計回り中心の捻り挿入で到達できることが多い。
捻転部位を通過すると、拡張した腸管内に大量のガスと水様便の貯留を認める。
可能であればS状結腸の頂部を通過してSDJ まで到達してから完全に脱気する。捻転は反時計回りに生じていることが多いため、時計回りに捻りながら引くと、捻転が解除されることが多いが、できればX線透視下に行うのが望ましい。捻転が解除された瞬間に口側腸管から大量の液体や便が肛門から流出し、症状は劇的に改善する。
世界で類をみない超高齢社会を迎えている本邦では、今後も増加傾向が予想される緊急度の高い疾患の一つである。