2020.12.07
一般内視鏡大腸における壁深達度AI診断
今回、モルフォから、内視鏡検査における大腸がんの深達度AI診断プロジェクトにおいて、高精度な検出システムを構築したとの発表があった。
大腸内視鏡検査において、早期大腸癌の深達度の診断においては、肉眼的所見に加え、拡大内視鏡や画像強調内視鏡、色素内視鏡を併用する。
ただ、上記の先端大腸内視鏡の設置病院は限られているため、一般の内視鏡画像のみで大腸癌の深達度のAI(人工知能)診断が臨床に応用可能かが検証された。
大腸内視鏡検査のうち、腺腫、早期大腸癌、進行大腸癌を含む1036例から3440枚の病変画像を抽出し、画像は全て一般内視鏡画像である白色光、非拡大、非色素散布とした。
AIの学習モデルとして、Single Shot MultiBox Detector Mobile Netを用いたCAD systemを構築し、画像3440枚のうち2749枚に対して、回転や輝度、色相、拡大縮小など多方面からディープラーニングが実施された。
ラーニング後、残りの691枚を検証に用いて病変を検出し、病変の深達度を、内視鏡治療可能病変と外科的治療必要病変に分類した。
その結果、今回構築したCAD systemのmAP(mean average precision)は、位置検出と深達度診断で0.916、位置検出のみでは0.996と良好な診断精度を示した。
mAPは物体検出アルゴリズムなどの性能を表す評価指標で、1.000に近いほど良い評価であるため、今回の研究により一般の内視鏡画像のみを用いた大腸癌の深達度のAI診断が臨床に応用可能であることが示唆された。
今後は、今回の研究成果の早期事業化が期待される。