2025.07.01
3cm以上のバレット食道に定期検査の必要性 ― 国内大規模研究が示唆
欧米では以前から、バレット食道は食道腺癌の前癌病変とされており、その長さに応じた定期的な内視鏡検査が推奨されています。一方、日本ではバレット食道の患者数が欧米より少なく、長さも比較的短い症例が多いことから、定期検査の必要性に関する明確な指標はこれまで確立されていませんでした。
2025年4月に開催された第111回日本消化器病学会総会において、秋田大学の福田翔氏らによる全国17施設・約3万3千例を対象とした多施設共同研究の結果が報告されました。この研究では、バレット食道の長さと食道腺癌リスクとの関連が検討され、欧米と同様に、3cm以上のバレット食道では食道腺癌の発生リスクが高く、定期的な内視鏡検査が必要である可能性が示唆されました。一方で、1cm未満のバレット食道では、癌の発生率は健常者とほぼ同等であり、定期検査の必要性は低いと考えられました。1cm以上3cm未満の症例については、リスクが中間的であるため、今後さらに検討が必要とされています。