2025.06.20
潰瘍性大腸炎に新規作用機序の薬剤が登場
2025年3月19日、「中等症から重症の潰瘍性大腸炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の適応で、1日1回の経口投与で治療できる新しい薬「オザニモド」が国内で承認・発売されました。これは、S1P(スフィンゴシン1リン酸)受容体モジュレーターという新しい作用機序を持つ内服薬で、海外ではすでに多発性硬化症などにも使われています。
オザニモドは、潰瘍性大腸炎に対する新規作用機序の治療薬です。S1P1受容体および S1P5受容体に高い親和性を持って選択的に結合するS1P受容体調節薬であり、リンパ球上に発現するS1P1受容体に結合し、S1P1受容体の内在化および分解を誘導することにより、リンパ球を末梢リンパ組織内に保持します。この作用によってリンパ球の体内循環を制御し、病巣へのリンパ球の浸潤を阻害することで、潰瘍性大腸炎の病理学的変化を改善すると考えられています。
潰瘍性大腸炎の治療は個別化の時代を迎えており、患者さんごとの疾患活動性や生活様式に応じた選択が求められています。オザニモドは、1日1回投与の経口薬であり、患者さんの負担を軽減し、注射製剤の使用を避けたい方や、従来の治療に反応が乏しい症例に対して、新たな治療選択肢となる可能性があります。