超音波内視鏡検査は、内視鏡の先端に搭載されている超音波で胃や十二指腸から、外側の臓器(膵臓、胆嚢、胆管、肝臓など)を観察する検査である。

体表からのアプローチに比べ、至近距離で対象臓器を観察できるため、より鮮明な画像で詳細に診断することができる。

膵臓がんの診断においては、日本における「膵癌診療ガイドライン(2022):日本膵臓学会」において、EUSは膵癌を高感度で検出できることから、膵癌を疑った場合にEUSを行うことが提案されている。

超音波内視鏡下穿刺吸引法 (EUS-FNA:超音波内視鏡を用いて腫瘍の細胞を回収する検査)によって、低侵襲に細胞・組織を採取し質的な組織診断が可能となり、膵臓癌を疑った場合の診断法として世界的に確立されている。

また、閉塞性黄疸に対するステント留置において、第一選択となる内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)に加えてEUS-FNAの手技を利用した超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD) が可能となった。

これら各種デバイスの登場によりInterventional EUSという内視鏡的治療領域への注目が近年高まっている。

キヤノンメディカルは、画像診断装置事業では100年以上の歴史を持ち、X線診断装置はじめ、CT、MRI、超音波診断装置など、世界150か国以上の国や地域に製品・サービスを提供している。

超音波診断装置においては1960年代から開発を続け、脳外科用のAモード装置やリニア電子スキャン方式など、他社に先駆け開発してきたリーディングカンパニーである。

画質向上技術「D-THI」や、これまで画像化することが困難だった非常に遅くて細かい血流を描出可能なイメージング技術「SMI」など、先進的な超音波画質・独自技術に強みがある。

また、オリンパスは、世界で初めて消化器内視鏡を実用化し、病変の早期発見・診断そして低侵襲治療による医療⽔準の向上に貢献している。

EUS領域においても新たな機器開発による描出方法、診断方法の充実や手技の拡大に世界的に高い市場シェアを獲得・維持している。

今回、両社の強みを融合させることで、新たな超音波内視鏡機器が開発された。

EUS領域での診断、低侵襲治療において更なる画質・診断性能の質的向上を実現し、疾患の早期発見へ貢献できると期待される。