従来より、膵神経内分泌腫瘍に対しては外科的に手術が行われるが、膵頭部など発生場所によってはかなりの侵襲となる。

今回、国立大学法人岡山大学病院消化器内科 、光学医療診療部、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)消化器・肝臓内科学らの研究グループは、超音波内視鏡(EUS)を用いて膵臓に生じる比較的稀な腫瘍である膵神経内分泌腫瘍に対してラジオ波焼灼を行い、熱凝固壊死させる国内初の臨床研究を行い、腫瘍を壊死させることに成功した。

同研究グループは2015年から膵神経内分泌腫瘍に対する内視鏡的低侵襲治療法の開発に取り組んでおり、これまでにEUSガイド下に腫瘍内にエタノールを注入して凝固壊死させる国内初の臨床研究を先進医療Bとして行った実績もある。

本治療は、局所切除の適応になる低悪性度かつ小径の膵神経内分泌腫瘍に対して行われ、これまでに行ってきたEUSガイド下エタノール注入療法より治療効果が高く、外科切除に代替される治療として期待される。

本治療の臨床研究で安全性および有効性が証明できれば、身体に負担が少ない内視鏡を用いた低侵襲治療が広く普及し、膵切除に伴う合併症の回避や糖尿病の発生なども抑制できると考えられる。

なお本情報は、岡山大学定例記者会見で公開された。