大腸カメラ検査時に発見される炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease : IND)の内視鏡所見にアフタ、びらんがある。

アフダとは、「黄ないし白色斑でしばしば紅量を伴う炎症性変化、粘膜表層の欠損を肉眼的に確認困難な場合がある」と定義されている。

びらんとは、粘膜筋板を越えない浅い粘膜の組織欠損と称する。

アフタ、びらんは腸管のさまざまな疾患で生じうるため、その内視鏡的特徴の把握が診断に重要となる。

Crohn病の初期像ではそれらが縦列するのが特徴である。

アメーバ性大腸炎は盲腸、直腸に好発する白苔を伴うたこいぼ状潰瘍を呈する。

診断には組織生検、便塗抹検査が必要である。

クロストリジウム·ディフィシル腸炎は発赤、びらん、潰瘍、偽膜を来すのが特徴であるが、偽膜のない症例では内視鏡所見のみで診断は困難である。

NSAIDs起因性腸病変は潰瘍型と腸炎型に大別され、さらに潰瘍型は膜様狭窄を合併することもある。

病理組織像は陰窩のアポトーシスや好酸球浸潤が特徴であるが、生検のみで診断できない場合は、他疾患の除外や薬剤内服歴の聴取、薬剤中止後の改善所見の確認が重要となる。