大腸カメラ検査時に発見される炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease : IND)は、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病を指すことが多い。

大腸カメラ検査時の画像診断だけでは、確定診断が難しいことも多く、生検による病理診断が補助的また主たる診断となりうる。

IBDは、潰瘍の有無とその形態を主所見として、①縦走潰瘍型、②輪状潰瘍型、③円形潰瘍型、④炎症性ポリポーシス型、⑤浮腫・発赤・びらん型、⑥腫瘍様隆起型、に分類され、鑑別疾患が決定される。

さらに、潰瘍辺縁の性状などの副所見を組み合わせることで鑑別疾患を絞り込むことができる。

IBDの生検診断の役割は、臨床画像診断の整合性を確認することにある。

そのためには、①炎症の時相判定、②粘膜傷害の原因推定、③特異的組織所見の検索、の3つの過程に沿った病理組織像の解析が必要である。

潰瘍形成病変では、潰瘍辺縁(粘膜傷害の原因推定)と周囲粘膜(炎症罹患範囲の判定)および潰瘍底(病原菌や肉芽腫などの検出)からの生検が必須である。