2022.10.18
大腸カメラによる高齢者早期大腸癌内視鏡治療における余命と予後・他病死
本邦では65歳以上の人口の増加により高齢化率は28.4%となり、75歳以上人口は1,800万人を超え、総人口の14.7%を占める社会となった。
医療において高齢者·超高齢者と区分するかの定義はいまだ議論されているが、近年の老年化現象に関する種々のデータの経年的変化の検討から従来の65歳以上ではなく75歳以上を高齢者の新たな定義とすることが提案されている。
一方、大腸カメラ検査や内視鏡的切除術(ESD)の普及により、早期大腸癌に対する内視鏡的切除が超高齢者に対しても安全に行われるようになっている。
現在、本邦における死因の第1位は悪性腫瘍であり、80歳以上では悪性腫瘍より脳血管疾患・心疾患・肺炎・老衰のいずれかで亡くなる割合が高くなり、90歳以上ではその傾向が顕著となる。
また、平均余命が5年を下回るのは男性89歳(4.76年)、女性92歳(4.80年)とされている。
早期大腸癌が進行大腸癌になり、狭窄·転移を来すまでの期間はまだ明らかにはなっていないが、早期大腸癌のdoubling timeは12~24か月と報告されている。
また、大腸cT1癌治療後のリンパ節再発や転移の多くは3~5年と報告されている。
それらを勘案すると、多くの未治療の早期大腸癌が患者の生命に危険を及ぼすまでには4〜5年以上かかると推察される。