食生活の欧米化により、大腸癌が急激に増加している。

大腸癌は、上記のような因子が刺激となり、大腸正常粘膜に遺伝子異常が加わり、発生すると考えられている。

今回、九州大学生体防御医学研究所研究グループは、腸管上皮の再生に必要な新たな組織幹細胞を発見した。

また、腸管の再生やがん化の過程に「胎児返り」と「胃上皮様変化」という2つの現象が重要であることも明らかにした。

本研究グループは、造血幹細胞や神経幹細胞の細胞周期停止に重要なp57遺伝子が、腸管上皮においても稀少な細胞集団に特異的に発現していることを発見した。

そして、通常の状態では分化細胞の一種として存在しているp57発現細胞は、組織がダメージを受けると脱分化して幹細胞となり、腸管の再生に重要な役割を果たすことを明らかにした。

さらに、p57発現細胞は「胎児返り」と「胃上皮様変化」という細胞生命根幹の大規模な再構築を経て、幹細胞の状態へと逆戻りしていることもわかった。

これにより、今後、大腸癌の新規治療開発などへの応用が期待される。

本研究成果は「Nature Communications」に掲載された。