コロナウイルスSARS-CoV-2が全世界で猛威を振るう中、日常の内視鏡検査においても感染予防に対して注意が必要である。

すべての内視鏡検査前に SARS-CoV-2 のウイルス検査を行うか否かについては、現時点では一定の見解は得られていない。

感染者では発症直前から発症期にかけてウイルス量は急激に増加し、発症2日前から発症後 10日程度が感染可能期間と推定されている。

発症後1カ月までも PCR 検査でウイルス遺伝子が検出されることもあるが、PCR 検査陽性と感染性は必ずしも同義ではないことに留意する必要がある。

入院・手術を要する患者については、新型コロナウイルス PCR 検査を原則的に行っている施設が多い。

個人防護具(PPE) は交換可能なものについては検査ごとの交換が原則ではあるが、新型コロナウイルス感染リスクが低い(ローリスク)と判断される場合には、市中における感染症の蔓延状況、PPE の供給体制などを勘案し,手袋などの体液などに直接接触するものは検査ごとに交換し、ゴーグルなどの体液などに直接触れないものについては汚染時に交換することや手指などによる不用意な接触を避けることを前提に、一連の検査終了時には洗浄し、アルコールなどの消毒薬による清拭を適宜行うことが現実的な対応である。

患者周囲の高頻度接触部位や物品などはアルコール(エタノールまたは 2 – プロパノール)あるいは 0.05%の次亜塩素酸ナトリウムによる清拭および消毒が望ましい。

新型コロナウイルス感染リスクが高い(ハイリスク)と判断される場合には、加えて N95 マスクを着用し、手袋も二重として、PPE は検査終了後原則として破棄する。消化器内視鏡における飛沫感染対策の一環として、被検者がマスクを着用したままでの経鼻内視鏡検査の実施、頭部をアクリル板などのシールドで囲うなどの試みも報告されている。