膵管や胆管の造影を行う内視鏡的逆行性膵胆管造影法(endoscopic retro-gradecholangiopancreatography:ERCP)は、膵胆道疾患の診断や治療に必要不可欠な手技として確立されている。

しかし、ERCP は偶発症のリスクが高く、特に ERCP 後膵炎(post-ERCP pancreatitis: PEP)は致死的な経過をたどることもあるために注意が必要である。

以前はPEP予防を目的として、蛋白分解酵素を投与することが一般的となっているが、現在ではPEP予防効果がないと結論づけされており、さまざまな薬物による予防処置が研究されている。

ナファモスタットメシル酸塩に関しては、RCT のメタ解析において、ナファモスタットメシル酸塩投与群が非投与群と比較し有意に PEP が低下したと報告されている(RR 0.47, 95% CI 0.34 ~0.63)。

蛋白分解酵素阻害薬使用による PEP 予防効果に関しては,さらなる検討が期待される。

次に、非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs : NSAIDs)であるジクロフェナクナトリウムまたはインドメタシンの経肛門的投与が PEP 発症を予防すると報告されている。

最新のRCT-を対象としたシステマティックレビュー8)でも、ジクロフェナクナトリウムとインドメタシン 50 mg、100 mgの経肛門的投与は PEP を減少させると結論づけている (risk difference -0.05, 95% CI -0.10 to -0.04 <0.05).

また、NSAIDsの種類に関する解析では、ジクロフェナクナトリウムとインドメタシン以外の NSAIDS は有用性がないと報告されている。