内視鏡検査の普及により胃・大腸だけでなく、他の消化管疾患の診断・治療にも進歩をみせている。

側視鏡により十二指腸ファーター乳頭部よりチューブを挿入し、膵管や胆管の造影を行う内視鏡的逆行性膵胆管造影法(endoscopic retro-gradecholangiopancreatography:ERCP)は、膵胆道疾患の診断や治療に必要不可欠な手技として確立されている。

しかし、ERCP は偶発症のリスクが高く、特に ERCP 後膵炎(post-ERCP pancreatitis: PEP)は致死的な経過をたどることもあるために注意が必要である。

PEP のリスク因子は患者側要因と手技側要因に大別され、ERCP 後膵炎ガイドライン2015では患者側リスク因子として Oddi括約筋機能不全疑い、女性、膵炎既往、若年、肝外胆管拡張なし、慢性膵炎ではない、血清ビリルビン値正常があげられ、また手技側危険要因としてプレカット、膵管造影1回以上、挿管回数5回以上、膵管口切開、乳頭バルーン拡張、胆管結石残石あり、内視鏡的乳頭切除術が記載されている。

内視鏡医として上記に対する慎重な対応が求められる。