2021.03.19
胃カメラ検査時に発見される潰瘍瘢痕併存早期胃癌に対するESD適応診断
ESDの普及により、安全かつ非非侵襲的な内視鏡治療が可能となっている。
早期胃癌に対するESDが適応における深達度の判定は極めて重要な因子であるが、潰瘍瘢痕化した硬度を有する病変に対しては慎重な判断が求められる。
潰瘍瘢痕併存(ULs)早期胃癌の診断能に関しては、さまざまな報告がある。
ULs早期胃癌の潰瘍の有無に関する術前診断は感度とPPV(positive predictive value)が低く、術前にULsの有無の判断自体が難しい。
次に、ULs早期胃癌ではHM1 が多く、その原因は技術的要因である。
また、深達度診断も正診率は72~85%でULsなしの早期胃癌より低い傾向が認められる。
最後に、ESDの難易度の予測にはEUSが有用と考えられ、第3層の断裂距離が5mmを超えると標本に挫滅を残す場合が73%で認められる。これは、EUSの第3層断裂距離が5mmを超える場合は技術的な適応を超えている可能性があると考えられる。
ただし、ULs早期胃癌に対するESDは、線維化領域の部位や面積、瘢痕化の時期、個々の内視鏡技術により成績が左右されるため、これらの要素も加味して治療適応を決定すべきであると思われる。