ESDの普及により、早期胃癌の段階で非侵襲的内視鏡治療による完治が可能となっている。

早期胃癌に対するESDが適応であるかの治療選択アルゴリズムの最上位は、深達度診断である。

その代表的内視鏡診断として、病巣の台状挙上がある。

台状挙上とは、病巣周辺の胃壁が十分にかつ素直に伸展されているのに、病巣全体、またはその一部が台状に隆起して見える所見を指す。

台状挙上は、癌細胞が粘膜下層に浸潤する浸潤部の癌細胞塊と線維化により、粘膜下層浸潤部は領域性を持って硬化・肥厚し、内視鏡時の送気により胃壁を強伸展すると、 硬化・肥厚した粘膜下層浸潤部は全く伸展しないが、粘膜下層浸潤部以外は伸展する。

その結果、領域性のある硬化・肥厚した粘膜下層浸潤部のみが、領域性を持って相対的に挙上し、いわゆる台状挙上所見を呈する。

台状挙上所見を用いたT162(SM2)の診断能は、感度 92.0% [95%信頼区間(confidence interval; CI) 87.0~97.0%]、特異度97.7%(95%CI 96.7~98.8%)、陽性的中率85.9% (95%CI 79.7~92.1%)、陰性的中率98.8% (95%CI 98.0~99.6%)、正診率96.9% (95%CI 95.8~98.1%)であり、高い診断能を有している報告もある。

このようにESD適応診断として台状挙上は有用であると考えられる。