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Columnコラム

胃癌における免疫チェックポイント阻害剤奏効バイオマーカー

ピロリ菌の除菌療法の普及により、胃癌の発生件数は減少しており、また内視鏡検査の発展およびESDなどの内視鏡的切除の進歩により早期発見・早期治療が可能となっているが、進行性胃癌や転移を伴う難治性胃癌に対しては抗がん剤などの化学療法の効果も少ない。

近年、PD-1/PD-L1阻害剤による免疫チェックポイント阻害剤が、胃癌をはじめとした様々な癌種に奏効することが報告されているが、治療を受けた症例の半数以上がPD-1/PD-L1阻害剤治療に反応しないため、治療効果を精度高く予測するバイオマーカーの同定が必要とされている。

最近の研究からPD-1/PD-L1阻害剤による治療が奏効するためには腫瘍微小環境中に癌抗原を認識して活性化するPD-1陽性エフェクターT細胞が必要である可能性が示唆されているが、実臨床でPD-1陽性エフェクターT細胞の量を測定するのに必要な大きさの腫瘍組織を収集することは難しく、腫瘍浸潤リンパ球を効果予測バイオマーカーとすることは困難であった。

今回、胃癌患者を対象とした探索コホートでPD-1/PD-L1阻害剤治療効果予測バイオマーカーを探索し、また、検証コホートとして当該バイオマーカーを検証した結果が報告された。

PD-1/PD-L1阻害剤治療の最良治療効果判定が、完全奏効、部分奏効もしくは6か月以上の病勢安定であるものを治療奏効例、それ以外の6か月以内の病勢安定もしくは病勢進行を治療不応例と定義し、腫瘍組織に発現するPD-L1は免疫染色、腫瘍ゲノムにおける体細胞変異数は次世代シークエンサーを用いて解析した。

また、腫瘍浸潤リンパ球の免疫学的な特徴を評価するために、治療開始2週間前以内に腫瘍組織生検検体を採取し、腫瘍浸潤リンパ球を抽出し、フローサイトメトリーで解析した。

治療奏効例で腫瘍浸潤エフェクターT細胞上のPD-1発現が有意に高く、また、腫瘍浸潤エフェクターT細胞上のPD-1発現が高い群では低い群と比較して無増悪生存期間は有意に長い結果であった。

次に、PD-1/PD-L1阻害剤治療奏効の関連を検討した結果、エフェクターT細胞とは反対に、治療不応例で腫瘍浸潤制御性T細胞上のPD-1発現が有意に高く、また、腫瘍浸潤制御性T細胞上のPD-1発現が高い群では低い群と比較して無増悪生存期間は有意に短い結果となった。

また、114項目のパラメーターについてディープラーニングを用いて治療効果の判定に関連する重要因子を特定し、その中で、PD-1陽性エフェクターT細胞(PD-1陽性CD8陽性T細胞)とPD-1陽性制御性T細胞のペアが上位1位にランキングされ、これらの2つの因子がPD-1/PD-L1阻害剤の治療効果予測に極めて重要であることが明らかになった。

さらに、114項目のパラメーターを基にしてAIによる機械学習を実施したところ、腫瘍浸潤エフェクターT細胞に発現するPD-1陽性率と制御性T細胞に発現するPD-1陽性率の比率が最もPD-1/PD-L1阻害剤の治療効果阻害剤治療の治療効果を予測するバイオマーカーとして同定された。

今後、同定された治療効果予測バイオマーカーを使用することで、PD-1/PD-L1阻害剤治療の効果が期待できる症例を高精度に予測し、より精密な個別化医療の実現が期待できる。

本研究成果は、米国科学雑誌「Nature Immunology」電子版に掲載された。