カプセル内視鏡の普及に伴い、小腸腫瘍や腫瘍様病変に遭遇する機会が増加しているが、その形態的特徴についての知見は少なく、診断に苦慮することも多い。

小腸腫瘍のなかで良性腺腫は稀であり、全小腸腫瘍の2,8%に認められる。

家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)では、60〜75%に小腸腺腫が認められ、特に十二指腸に腺腫を有する場合は高率に小腸腺腫を合併する。

FAPでは、空調主体に、十二指腸の腸型腺腫と類似した、褐色調の扁平な小隆起が多発することが多いが、悪性化のリスクは少なく、定期的な小腸検査は推奨されていない。

一方、非FAPの小腸腺腫については、報告例が少なく、従来は外科的に切除されているが、上皮性腫瘍である小腸癌は腺腫から発生するのではなく、de novo発癌経路をとるとされており、今後は、小腸カプセル内視鏡検査などによるエビデンスの蓄積により、小腸腺腫に対する治療方法についての検討が必要になると考えられる。