現在、大腸内視鏡検査はさまざまな医療機関で行われ、広く普及している検査の一つであり、直視下に病変を視認でき、また治療が行える利点がある。

ただ、前処置として服用する腸管洗浄剤は、その味においてかなり改良されているものの、未だ大量2000ccを服用する必要があり、内視鏡検査自体より下剤に対し苦痛を訴える被検者が多い。

また、便秘症の被検者では、上記量でも残渣を認める場合があり、体位変化や吸引などによる病変確認に苦慮することがある。

大腸CTでは、前処置としての下剤は少量150ccの服用で済むため、内視鏡検査時の大量の腸管洗浄液が苦手な被検者にとっては喜ばれることが多い。

大腸CTにおける前処置の下剤が少量で済む理由として、以下の2点が挙げられる。

ひとつは、3方向の体位による3Dおよび2Dでの画像確認ができ、また3Dにおいては、腸管内腔画像に加え、腸管長軸に展開した画像により腸管全体を地図状に確認することも可能である。

もうひとつは、タギングによるものである。

タギングとは、腫瘍病変を診断するために腸管内残渣や残液を造影剤により標識(タグ付け)することである。

ポリープなどの病変部は通常の残渣や残液とは同じ低いCT値であるため、通常CTでは判別が困難であるが、前日に服用した液体造影剤を摂取した食物に混在させることにより、造影剤が混在した残渣や残液はCT値が高くなり、両者の判別、すなわち残渣下部に埋没する病変も診断が可能となる。

このように、主に上記2点により、服用下剤量は少なくて済むため、検査前処置および検査自体において身体に優しく、侵襲の低い検査として、今後、ますます発展していくと思われる。