2020.06.06
大腸CT描出精度
大腸CT検査は、X線撮影された腸管の断面をコンピューター解析により積み重ねていくことで大腸を形状化する。再構築された大腸は3D化されているため、実際に内視鏡で観察しているようにポリープや腫瘍の診断を行うことが可能である。
また、通常のCT検査より放射線量は約1/5程度と低いため、生体に対する被曝量も少なくて済み、大腸周囲臓器の診断も可能である。
一方、従来の大腸内視鏡検査は、内視鏡先端に装着されたCCDカメラで撮影した画像を外部モニターでリアルタイムに診断するシステムである。最近は画質の向上を認め、腫瘍の診断における精度はかなりUPしている。
ただ、大腸は約150cmの屈曲部の多い腸管のため、大腸内視鏡検査時に、肝臓・脾臓の湾曲部やヒダ背部は盲点となる場合があり、病変の見落としが発生する可能性がある。
大腸CT検査では、3D画像を360°回転したり、ヒダ背部後方から視認できるため、腸管部位として盲点となる場所がほぼない。また、3D画像のため、撮影腸管画像を縦軸に切開し、地図のように広げて詳細に観察・診断することも可能である。
このように、大腸CT検査における病変の描出精度は内視鏡検査より優れている点も多い。
現在、大腸CTを健診時のスクリーニングとして使用する施設も増加し、今後ますます需要が増えることが予想される。将来、バイオマーカーによる大腸癌の早期診断を行い、異常が認められた場合に、大腸CTへ、そして大腸内視鏡検査で組織検査により診断確定する。そのような大腸癌診断プロセスが確立すると考えられる。